「燃費を良くするにはどう運転すればいいですか?」
トラックドライバーなら一度は考えたことがあるテーマだと思います。ネットで調べると「アクセルはやさしく踏みましょう」「エコドライブを心がけましょう」といった教科書的な内容ばかり出てきますが、現場で本当に効くのはもっと別のところです。
結論から言います。大型トラックの燃費は、「道選び」と「荷物の重さ」でほとんど決まります。運転テクニックで変わる幅は、正直それほど大きくありません。
この記事では、私が実際に乗っている日野プロフィアの実測燃費データをもとに、現役の雇用ドライバーの視点から燃費について正直に書いていきます。
私のトラックの実測燃費 — 日野プロフィアの場合
📊 日野プロフィア実測燃費

私が乗っているのは日野の17プロフィア(大型トラック)です。月の平均燃費はだいたい以下のとおりです。
| 条件 | 燃費(実測) |
|---|---|
| 月の平均 | 約3.6km/L |
| スタッドレスタイヤ+重い荷物 | 約3.2km/L |
| 軽い荷物+ミックスタイヤ | 約4.0km/L弱 |
条件によって3.2〜4.0km/Lの幅があります。特にスタッドレスタイヤは空車でも燃費が落ちます。重い荷物と組み合わさるとさらに悪化して3.2km/Lまで下がります。
0.8km/Lの差と聞くと小さく感じるかもしれませんが、大型トラックの燃料タンクは数百リットル。月に1万キロ近く走ることもあるので、0.1km/Lの差でも積み重なれば月に数十リットルの違いになります。
ちなみに、ネットで「大型トラック 燃費」と検索すると「2〜4km/L」という数字がよく出てきますが、これはかなりざっくりした数字です。車種・年式・荷物・ルート・タイヤ・季節で大きく変わるので、あくまで目安として考えてください。
なお、私は睡眠時にCPAP(シーパップ)を使用しているため、休憩中もエンジンをかけっぱなしにしています。CPAPは電源が必要で、サブバッテリーは車内が狭くなるため持ち込んでいません。エンジンかけっぱなし一択です。
会社からは「エンジン切ってください」と言われることもあります。ただし、会社の健康診断で睡眠時無呼吸症候群と診断されて治療中であることを伝えると、了承してもらえています。他のドライバーに迷惑をかけない場所、民家のないところを選んでエンジンをかけたまま寝るようにしています。
この事情があるため、私の燃費データは悪い方だと思います。CPAPを使わないドライバーであれば、同じ車種でももう少し良い数字が出るはずです。
一番効果があるのは「道選び」— 山陽道と中国道で燃費が全然違う
燃費に最も影響するのは、どの道を選ぶかです。運転テクニックよりも、高速道路の選択のほうがはるかに大きいと実感しています。
私が実際に走っているルートで比較すると、こういう違いがあります。
山陽道(燃費◎)
アップダウンが少なく、燃費が良い道です。平坦な区間が多いので、一定の速度を保ちやすく、アクセルの踏み増しが少なくて済みます。西日本を走るなら山陽道を選ぶだけで燃費は変わります。
中国道(燃費×)
山が多く、燃費が悪い道です。登り坂ではアクセルを踏み込まないと速度を維持できず、下り坂ではブレーキや排気ブレーキを使うことになります。同じ距離を走っても、山陽道と比べると明らかに燃料の減りが早いです。
さらに中国道は事故や通行止めになったとき逃げ道がないという問題もあります。一般道も限られるため、会社としても中国道を使うことは嫌がられます。通るときは一気に抜けられる条件のときだけ。もし中国道で止まることになった場合は、ジャンクションの手前あたりで停まるようにしています。
中央道(燃費×)
こちらも山岳区間があり、燃費は良くありません。ただし、都心から離れると交通量が減って走りやすいというメリットはあります。
新東名・東名(燃費△)
道自体は悪くありませんが、普通車の交通量が多いのがネックです。車間が詰まりやすく、加減速が増えるため、思ったほど燃費が伸びないことがあります。
ちなみに下道(一般道)は当然ながら燃費が悪くなります。信号での停車・発進の繰り返しは、大型トラックにとって最も燃料を消費するパターンです。20トン以上の車体をゼロから加速させるたびに、大量の燃料が必要になります。
つまり、「重い荷物+山道」が最悪の組み合わせで、「軽い荷物+平坦な高速道路」がベストです。道を選べる状況であれば、それだけで燃費は目に見えて変わります。
速度と燃費 — 75〜80km/hが最適だが、現実はそうもいかない

大型トラックの燃費が最も良くなる速度帯は、75〜80km/hです。このあたりで巡航すると、エンジン回転数も低く抑えられて効率が良いです。
ただし、正直に言うと今の私は90km/hくらいで走っています。
理由は休息時間の確保です。トラックドライバーには法定の休息時間があり、しっかり休むためには、走行中にある程度スピードを出して時間を稼ぐ必要があります。納期自体にはゆとりがあっても、休息をきちんと取ろうとすると走行時間がカツカツになるのです。
「燃費のために80km/hで走る」と「休息をしっかり取るために速度を出す」は、現実には両立しにくい関係にあります。安全と健康を優先すれば、燃費は多少犠牲になる。これが現場のリアルです。
エコドライブの記事では「ゆっくり走れば燃費が良くなる」と簡単に書かれていますが、労働時間の制約がある中でゆっくり走ると、今度は休息時間を削ることになります。燃費を取るか、休息を取るか。私は迷わず休息を取ります。
発進と回転数 — これだけは意識している
道選びや速度に比べると効果は小さいですが、運転テクニックとして唯一意識しているのが「発進時のアクセル」です。
- 出足(発進時)であまり踏み込まない
- 高回転を避ける
この2つだけです。
大型トラックは車両重量が大きいので、発進時に一気にアクセルを踏み込むと大量の燃料を使います。逆に言えば、発進をおだやかにするだけで、それなりに燃料は節約できます。
ただし、「卵を踏むように」とか「ふんわりアクセル」といった表現は、教習所のテキストでしか見たことがありません。現場では後ろの車に迷惑をかけない程度に、必要以上に踏み込まない、それだけです。
正直に言うと、疲れているときや荷物が重いときは踏み込んでしまうこともあります。オートマ車は出足が遅いので、後ろの車に迷惑をかけそうなときは燃費が悪くなると分かっていても踏みます。流れを止めるような運転は基本しないようにしています。燃費より周囲への配慮が優先です。
高回転を避けるのも同様です。早めにシフトアップして、エンジンの回転数を低く保つ。これは燃費うんぬん以前に、大型トラックの基本的な乗り方でもあります。
正直なところ、この2つは経験を積めば誰でも自然にやるようになることです。「テクニック」と呼ぶほど大げさなものではなく、日々の運転で体が覚える感覚に近いと思います。
雇用ドライバーにとって「燃費」とは何か
ここまで燃費の話をしてきましたが、正直に言うと、雇用ドライバーの手取りに燃費は直結しません。燃料費は会社が負担するので、燃費が良くなっても自分の給料が増えるわけではないのです。
それでも私が燃費を意識する理由は、会社の経営に関わるからです。
燃料費は運送会社にとって大きなコストです。ドライバー全員が燃費を意識すれば、それだけ会社の経営が安定します。会社の経営が安定するということは、自分の雇用が安定するということです。
個人事業主のドライバーであれば、燃費改善がそのまま利益に直結するので、もっとシビアに考える必要があるでしょう。しかし雇用ドライバーにとっては、「手取りを増やすため」ではなく「プロとして当たり前のこと」として燃費を考えるのが自然だと思っています。
また、燃費を意識して丁寧に走ることは、結果的に車両の消耗を抑えることにもつながります。ブレーキパッドやタイヤの減りが少なくなれば、それも会社のコスト削減になります。目に見えにくい部分ですが、長い目で見れば大きいはずです。
まとめ — 大型トラックの燃費で本当に大事なこと
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- 実測燃費は3.2〜4.0km/L(日野プロフィア、条件により変動)
- 燃費に最も影響するのは「道選び」。山陽道と中国道で体感できるレベルの差がある
- 荷物の重さも大きな要因。重い荷物+山道が最悪の組み合わせ
- 最適速度は75〜80km/hだが、休息確保のため現実には出し気味になる
- 発進時に踏み込みすぎない。これが運転テクニックとしては一番効く
- 雇用ドライバーの手取りには直結しないが、会社の経営安定=自分の雇用安定
ネット上のエコドライブ記事は、一般論や個人事業主向けの話が多いです。この記事が、同じ雇用ドライバーとして働いている方の参考になればうれしいです。

