こんにちは、九州の長距離トラック運転手の貴です。
2025年10月9日、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合して誕生する新会社の名前が「ARCHION(アーチオン)」に決まりました。2026年4月1日に事業開始・東証プライム上場予定です。日野とふそう、長年のライバルが手を組む——これは日本のトラック業界にとって歴史的な転換点です。
30年間トラックに乗ってきた私の目線で、この統合が現場のドライバーにどう影響するのか、正直に語ります。
アーチオン誕生の概要
🚛 ARCHION(アーチオン)基本情報
まず基本情報を整理します。
- 新社名:ARCHION(アーチオン)株式会社
- 出資比率:ダイムラートラック25%、トヨタ自動車25%、残り50%は一般株主
- CEO:カール・デッペン(三菱ふそう現CEO)
- CTO:小木曽聡(日野自動車現社長)
- 事業開始:2026年4月1日、東証プライム上場
注目すべきは、議決権ベースではダイムラートラックが26.7%、トヨタが19.9%ということ。CEO・CFOともにダイムラー系の人物が就任します。実質的にはダイムラー主導の経営になることが読み取れます。
なぜ統合に至ったのか——日野の認証不正問題

この統合を語るうえで避けて通れないのが、2022年3月に発覚した日野自動車のエンジン認証不正問題です。
排出ガスの劣化耐久試験で浄化装置(マフラー)を途中で新品に交換したり、燃費データを有利に操作したりする不正が、約30年間・56万台超にわたって行われていました。国土交通省は4つのエンジンの型式指定を取消し——これは史上初のペナルティでした。
正直に言います。私も日野の17プロフィアに長年乗ってきて、燃焼系の弱さは身をもって感じていました。マフラーを何度交換したか分かりません。認証不正のニュースを聞いたときは「やっぱりか」という気持ちが正直ありました。現場で感じていた不調と、不正の内容が見事に一致していたんです。
この不正問題のせいで、もともと2024年に予定されていた統合は約2年遅延。2023年5月に基本合意→2025年6月に最終合意→2025年10月に社名発表という流れでようやくここまで来ました。
「いすゞ・UD連合」vs「日野・ふそう連合」——日本トラック業界の新構図
いすゞ・UDトラックス連合
2021年にいすゞがUDをボルボから2,430億円で買収
世界市場での電動化・自動運転対応を強化
日野・三菱ふそう連合(ARCHION)
ダイムラートラック+トヨタが後ろ盾
2026年4月始動/単独では戦えない時代への対応
今回の統合で、日本のトラックメーカーは2大陣営に集約されます。
- いすゞ・UDトラックス連合(2021年にいすゞがUDをボルボから2,430億円で買収)
- 日野・三菱ふそう連合(ARCHION)(ダイムラートラック+トヨタ自動車が後ろ盾)
どちらの陣営も、電動化・自動運転などCASE(Connected・Autonomous・Shared・Electric)技術への莫大な投資が必要で、単独では戦えない時代になったということです。世界市場ではボルボ、スカニア、メルセデス・ベンツなど欧州勢が強く、日本勢が生き残るためには規模の力が不可欠でした。
現場ドライバーへの影響——正直に言うと不安もある
ディーラー・整備拠点はどうなる?
これが一番の心配事です。今は日野のトラックなら日野ディーラー、ふそうならふそうディーラーで見てもらっていますが、統合後はどうなるのか。
九州から関東まで走っていると、出先での故障が一番怖い。近くにディーラーがあるかどうかは死活問題です。統合でどちらのディーラーでも見てもらえるようになるなら歓迎ですが、逆に統合で拠点が減ったら困る。特に地方のドライバーにとっては、最寄りディーラーまで何十キロもある状況が起きかねません。
生産拠点は5カ所→3カ所に集約
2028年末までに、国内の生産拠点が集約されます。
- 残る3工場:川崎製作所(ふそう)、古河工場(日野)、新田工場(日野)
- 羽村工場:2026年4月にトヨタへ移管(1,500億円で譲渡)
- 中津工場:2028年末までに川崎製作所へ移管後、閉鎖
効率化は企業にとって当然ですが、工場が減ればその地域の雇用や、災害時のリスク分散に影響します。
プロフィア乗りとして感じている日野の弱点

30年トラックに乗ってきた本音を言います。
日野は燃焼系が弱い。マフラー交換を何度やったか分かりません。認証不正で排出ガス浄化装置を新品に差し替えて試験をパスしていた——というニュースを聞いたとき、現場の実感と完全に一致しました。
もう一つ、プロフィア乗りなら共感してもらえると思いますが、5年くらい経つと助手席側のキャブ下あたりでエアサスのホースが噛んでエア漏れするんです。キャビンを上げたところのエアラインが、チルトの繰り返しでホースが挟まれて傷む。そうなると突き上げがひどくなって、クッションがめちゃくちゃ悪くなります。長距離走ってると腰にきます。これ、整備業界でもプロフィアの持病として知られていて、ディーラーの推奨交換周期も3〜5年。5年に1回は覚悟しておいたほうがいいです。
私はふそうのファイター(4トン車)にも乗った経験がありますが、大型のスーパーグレートは乗ったことがないので比較は控えます。ただ、周りのドライバーに聞くと「ふそうはパワフルだけどクセがある」「日野は乗用車的で乗りやすいけど、エンジン周りの持病がある」という評価が多い印象です。
統合でお互いの弱点を潰してくれるなら最高ですが、正直統合直後の初期ロットは様子見が無難。どんなメーカーでも新体制直後はゴタゴタがつきもの。次の車検まで今の車を乗り潰して、市場の評判を見てからでも遅くありません。
ドライバーが今やるべき3つのこと
1. 日野・ふそう両方の緊急連絡先をメモしておく
統合が進めばどちらのディーラーでも対応してもらえる可能性がありますが、過渡期はどうなるか分かりません。出先で故障したときに困らないよう、日野・ふそう両方のロードサービス連絡先と、走行ルート上のディーラー情報を今のうちに確認しておきましょう。JAFだけじゃ心もとないです。
2. 車両入替は急がず、統合後の市場を見極める
2026年4月の事業開始後、新型車がどんな評判になるかを見てからでも遅くありません。統合後の初期ロットは避けて、半年〜1年の市場評価を待つのが堅実です。中古車市場でも「最後の純日野」「最後の純ふそう」に価値が出る可能性があるので、売却タイミングも考えどころです。
3. 新技術(EV・自動運転支援)の情報をキャッチしておく

アーチオンは電動化・自動運転支援に注力すると明言しています。ただ現実的に、長距離でEVはまだ厳しい(航続距離と充電時間の問題)。水素ステーションもほぼない。すぐに全面切り替えにはなりませんが、近距離配送から徐々に導入される流れは確実です。「自分には関係ない」と思わず、情報だけはキャッチしておくべきです。
まとめ
日野とふそうの統合で誕生するARCHION(アーチオン)は、2026年4月1日に事業を開始します。
- ダイムラートラック主導の経営体制で、グローバル競争力を強化
- 日野の認証不正問題が統合を2年遅らせた背景がある
- いすゞ・UD連合との2大陣営体制に集約
- ディーラー網の変化、初期ロットの品質が現場の最大関心事
正直、期待と不安が半々です。日野の燃焼系の弱さやプロフィアのエアサスの持病が改善されるなら歓迎。でも統合のゴタゴタで現場が振り回されるのは勘弁してほしい。いずれにせよ、私たちは荷物を届け続けるプロです。変化に備えつつ、今日も安全運転で走りましょう。

