結論:適正原価が変われば現場も変わる…はず
ドライバー歴30年のtakaです。
運送業界では「適正原価」という言葉がよく出てきます。簡単に言えば、運送にかかる本当のコストに見合った運賃をもらえているかという話です。
結論から言うと、現場のドライバーとしては「運賃が上がれば全部解決する」と思っています。給料、労働時間、PA(パーキングエリア)の駐車問題。すべての根っこにあるのは運賃の安さです。
この記事では、知り合いの社長から聞いた経営の実態と、現場ドライバーの本音を書きます。
運送会社の利益率はたった2%
.profit-vis{background:#fff;border-radius:12px;padding:20px;margin:20px 0;text-align:center;box-shadow:0 2px 6px rgba(0,0,0,0.08)} .profit-vis .bar{display:flex;height:40px;border-radius:8px;overflow:hidden;margin:14px 0} .profit-vis .bar .cost{flex:98;background:linear-gradient(90deg,#9E9E9E,#757575);display:flex;align-items:center;justify-content:center;color:#fff;font-weight:bold;font-size:14px} .profit-vis .bar .profit{flex:2;background:#c62828;display:flex;align-items:center;justify-content:center;color:#fff;font-weight:bold;font-size:11px} .profit-vis .legend{display:flex;justify-content:center;gap:20px;font-size:12px;color:#666;flex-wrap:wrap} .profit-vis h4{margin:0 0 8px;background:none;padding:0;border:none;font-size:16px;color:#1a1a2e} .profit-vis .note{margin-top:10px;font-size:13px;color:#555} .profit-vis .legend .lab{display:inline-flex;align-items:center;gap:4px} .profit-vis .legend .sw{display:inline-block;width:12px;height:12px;border-radius:2px}💰 売上1億円のうち、利益はわずか200万円
知り合いの運送会社の社長から聞いた話ですが、運送会社は利益率が2%出ていれば良い方だそうです。
売上が1億円あっても、手元に残るのは200万円。これがリアルな数字です。
運送会社の経費は多岐にわたります。
- 燃料代:軽油価格の高騰が直撃する。大型トラック1台で月に数十万円
- 車両の維持費:車検、タイヤ交換、修理費。大型トラック1台の車検だけで数十万円
- 保険料:自賠責、任意保険、貨物保険。事故があれば翌年の保険料が上がる
- 人件費:ドライバーの給料、社会保険料。ここが一番大きい
- 高速道路料金:長距離運行では1回の往復で数万円かかることも
これだけの経費を差し引いて、残りが2%。一般的な製造業の利益率が5〜10%と言われる中で、運送業の2%というのは相当厳しい数字です。
利益率が低いということは、ドライバーの給料を上げる余力が会社にないということ。「給料が安い」とドライバーが不満を言っても、会社側にも上げたくても上げられない事情があります。
運賃が安すぎるから、会社もドライバーも大変な状況が続いている。これが運送業界の構造的な問題です。
良い会社は荷主と交渉してくれる
すべての会社が何もしていないわけではありません。
私が見てきた良い会社は、荷主と交渉して運賃を上げてもらっています。体制を変えようとしている動きは、現場にいても感じます。
2024年4月から始まった「2024年問題」の影響もあり、荷主側も運賃の見直しに動き始めています。国土交通省が「標準的な運賃」を告示したことで、交渉のベースとなる数字ができました。これを根拠に「うちのコストはこれだけかかっている」と荷主に説明できるようになったのは大きな進歩です。
ただ、交渉して上がったとしても、元の運賃が安すぎるので劇的には変わりません。長年にわたって「安くてナンボ」で競争してきた業界の体質は、簡単には変わらないのが現実です。
「頑張ってくれている会社もある。でも限界がある」というのが正直な感想です。交渉してくれる会社に巡り会えただけ、自分は恵まれている方だとも思います。
「6回を4回で同じ給料」なら誰も文句言わない
ドライバーの本音はシンプルです。
今6回走っている運行を4回に減らして、同じ給料がもらえるなら誰も文句を言いません。
例えば大阪への長距離運行。今は3日で往復するスケジュールが一般的です。九州を出発して翌日の朝に大阪着、荷降ろしして積み込んで、その日のうちに折り返す。休む時間はトラックの中だけ。これを月に6回繰り返す。
これを5日に変えたらどうなるか。朝出発してゆっくり走り、途中で仮眠を取って翌日の昼に大阪着。荷降ろし・積み込みも余裕を持ってできる。帰りも同じペースで走れる。
ドライバーは余裕を持って走れます。無理な深夜走行も減り、安全にもつながる。居眠り運転のリスクも下がる。月の運行回数が4回に減っても、1回あたりの運賃が上がれば会社の売上は変わりません。
でも、そのためには運賃が上がらないといけない。1回あたりの運賃が上がれば、回数を減らしても同じ売上が立つ。会社もドライバーも楽になる。
適正原価の議論は結局、「1回の運行にいくら払うべきか」に行き着きます。今の運賃は、ドライバーが無理をして走り回ることを前提にした金額設定になっています。それを「ドライバーが人間らしく働ける」前提に変えるのが、適正原価の本質だと思っています。
PA駐車問題の本当の解決策

高速道路のPA・SA(サービスエリア)の駐車場不足は深刻な問題です。大型トラックが停められず、ランプウェイや本線合流部に止まっている光景を見たことがある人もいるでしょう。あれは好きで止まっているわけではありません。止まる場所がないから、危険を承知で止めているのです。
この問題の本当の解決策は、荷主側に泊まれる施設を作ることだと思っています。
荷主の倉庫や工場の敷地内にドライバーが休める場所があれば、PAに殺到する必要がなくなります。シャワーとトイレ、横になれるスペースがあれば十分です。豪華な施設は要りません。
そもそも荷主側には車を停められるスペースがすでにあるんです。そこを開放してくれるだけで問題は大きく改善します。新しい施設を建てる必要すらない。既存のスペースをドライバーに使わせてくれればいいだけの話です。
大阪3日の運行を5日にすれば、時間に余裕ができてPAの争奪戦も緩和されます。みんなが同じ時間帯にPAに集中するのは、スケジュールがタイトすぎて「この時間にここにいなければならない」という制約があるからです。
さらに言えば、高速料金のトラック割引があれば、ドライバーの負担はもっと減ります。現在、深夜割引(0時〜4時に30%割引)はありますが、これは深夜に走ることを前提にした制度です。朝早く出発してゆっくり走る選択肢を作るなら、大型車向けの恒常的な割引制度があった方がいい。それだけで物流全体の安全性が上がるはずです。
まとめ
運送会社の利益率はわずか2%。この薄い利益の中で、会社はドライバーの給料を払い、車両を維持しています。
適正原価が見直されて運賃が上がれば、以下のことが実現できます。
- 運行回数を減らしても同じ給料が出せる
- ドライバーの労働時間が短くなる
- PAの駐車問題が緩和される
- 安全運転の余裕が生まれる
- ドライバーのなり手が増える(待遇改善)
すべての問題の根っこは運賃の安さです。適正原価が変われば現場は必ず変わる。ドライバー不足の解決にもつながる。現役ドライバーとして、そう信じています。
荷主の方がこの記事を読んでいたら、ぜひ一度「このトラック1台にいくらの運賃を払っているか」を考えてみてほしいです。その金額で、ドライバー1人が家族を養えるかどうか。それが適正原価の答えだと思います。

